第4章 協力者
「昔話の鬼なら知ってるけど…。」
桜が困惑しながら答えると、千寿郎は眉尻を下げた。
千「そうですか…。」
そして、また考えるように視線を落とす。
千「…他に、その方は何かおっしゃりませんでしたか?…何でもいいです。」
そう言われて考え込むと、突如桜の頭に映像が浮かんだ。
「え!わ…っ!」
――そこに見えるのは…、
化物と戦い、血を流している人々。
力無くただただ襲われている人もいる。
その血濡れた姿を見た時だった。
―――『お姉ちゃん、逃げて!』
「…………っ…!」
見覚えのある血濡れた少年の姿がバッと浮かんだ。
(これは…今のは……さっきの映像と全く違う…私の記憶だ……)
桜は震えて立っていられず、手を口に当ててしゃがみ込み、もう片方の手をダンッと畳についた。