第23章 ※愛し方
(さ、さっきは笑ってたのに…あの杏寿郎さんがまさか怒ってる…?私が行動を間違えてたんだ。拒絶って…?距離感を誤ったからそう思われちゃったのかな…。でもお布団のある部屋に二人きりになるのは流石に良くないんじゃ……、)
桜がそう真剣に考えていると表情が見えなかった杏寿郎はまた拒絶されたように感じ、ぷつっと何かが切れてしまった。
「わ、むぐっ!!!」
急にグッと手を引かれ、桜は驚いている間に加減出来ていない強さで抱き締められる。
顔を上げて声を掛けようとするも後頭部に手を当てられて阻止されてしまう。
(これは…多分、怒ってるんじゃない……。)
桜は杏寿郎が何かを求めているのを感じると自身の腕を杏寿郎の体に回して愛情表現をするように ぎゅっと抱き締め返した。
それに杏寿郎がハッとして腕の力を緩めようとすると今度は桜が腕に力を込める。
そして目を丸くさせている杏寿郎の胸に顔を埋めたままくぐもった声を出した。
「怯えたと思わせてしまうような態度を取ってしまってごめんなさい。私があまりにも非常識だったって知って自分の行動に自信がなくなっちゃって、ちょうどいい距離感も分からなくなっちゃって…。その様子だと私、やり過ぎたようですね……。」
そう言いながら杏寿郎の背に回した手を再び ぎゅっと掴み直す。
その言葉と行動に杏寿郎はすっかり脱力し、眉尻を下げて微笑むと桜の頭を優しく撫でた。
杏「君に拒絶されると辛い。俺が思ったのはそれだけだ。今朝の会話以降、君の距離感に困った事は無かったぞ。」
そう言うと再び桜を横抱きにして、結婚の約束をした後 そのままになっていた布団に連れて行く。