第23章 ※愛し方
杏「よもや…。」
杏(部屋に入るより前に先程の行動について説明して謝るべきだったか。)
桜が千寿郎への嫉妬について怒って部屋に入ってくれなかったのだと勘違いをしながらも 杏寿郎はすぐさま追い掛けるように自室を出た。
「ちゃ、ちゃんと正しく出来たかな…無防備にしたら杏寿郎さんに子供欲しいって勘違いされちゃうんだ…、気を付けないと……。」
桜は小さく震える声を出しながら早足で客間へ向かっていた。
すると―――、
杏「なるほど!!そういう事だったのか!!!!」
「ーーーーッ!!!」
いつの間にか隣を歩いていた杏寿郎が 桜の独り言に相槌を打った。
桜が驚いて尻餅をつきそうになると杏寿郎が優しくふわっと支える。
杏「すまない!!驚かせてしまったか!!!」
そう謝る杏寿郎の顔にはスッキリとしたような清々しい笑顔が浮かんでいた。
一方、桜は ばくばくと鳴る心臓を押さえながら杏寿郎の笑みの理由が分からず酷く困惑した表情を浮かべた。
「あ、の……何かご用でしょう…か……?」
杏「うむ!君に用がある!!」
杏寿郎は元気良く言うと桜を横抱きにして客間へ向かった。