第23章 ※愛し方
「杏寿郎さん…………?」
杏寿郎はその声にハッとするも桜を離すことが出来ず、横抱きにすると自身の胡座の中に収めた。
「え…あの、こんな所で……それに千寿郎くんもいるのでちょっと………、」
桜が遠慮気味にだが自身を拒絶した事に杏寿郎は眉を寄せる。
杏「千寿郎にはしただろう。」
「そんな…それとはちょっと違いますよ…!とにかく離してください…っ!」
一方、千寿郎はやっとほわほわとした心地から目覚め、事態を把握すると青くなった。
千「あ、あああ、あにうえ!!」
千寿郎は慌てて杏寿郎の方を見ると泣きそうな顔をする。
千「桜さんに抱き締められるとふわふわとした幸せな心地になって…頭がうまく回らなくて…!すみません、兄上の目の前で…その…軽率な………、」
赤くなって自身の胸を力いっぱい押して抵抗を続ける桜を抑えながら、杏寿郎は千寿郎の方へ顔を向ける。
杏「千寿郎は桜を慕っているのだろうか。」
「…な、何言ってるんですか!杏寿郎さんらしくないです!ちょっと落ち着いてください!…あとお願いですから離し、て…っ!!」
杏寿郎は酷く拒絶されると眉尻を下げたまま腕の力を緩めて桜を解放した。
その様子を見ながら同じく眉尻を下げた千寿郎は杏寿郎を真っ直ぐ見上げる。