第23章 ※愛し方
「え…?ご飯は?私あげなかったけど大丈夫だったのかな…。」
少しズレたことを言いながらも桜は庭へ降りて走って行く。
しかし同時にバサバサと羽音がして鴉が逃げてしまう。
「待って!!私あなたの事食べない!それよりご飯は!?どこで寝てたの!?危ない目に遭ってなかった!?」
その心配そうな声色に鴉は一度近くの木に止まると振り返った。
その目の前で桜は人の姿に戻る。
「おいで。私は人だから…あなたを食べないよ。」
そう言うと桜は眉尻を下げたまま優しく笑った。
―――
鴉「スミマセン…。オ館様ノ手前、素直ニアナタニ付キマシタガ怖クテ仕方ナクテ…。」
そう言う鴉は桜の膝の上に収まっている。
「いいよー。気付かなくてごめんねー。」
桜はほっとしたのか、とても嬉しそうに頬を緩ませていた。