第23章 ※愛し方
そんな鴉の話をしている時 タイミング良くバサバサと羽音がした。
桜が期待を込めて見上げると杏寿郎の鴉、要がこちらへ向かってくる。
「私の子じゃなかった…。無事だと良いんだけど…。」
そう不安そうに言う桜の横で杏寿郎は要を腕に止める。
要「臨時ノ柱合会議ガ決マリマシタ。今日ヨリ七日後、正午ニ産屋敷邸ノ庭ヘ、トノ事デス。」
静かに人語を話す様子に桜は固まる。
(お館様、確かに鴉が色々と伝えてくれるって言ってたけど…こんな…こんなに頭が良いなんて…!)
その視線に要が気が付き、桜を見ると少し首を傾げる。
要「私ハ杏寿郎様ノ鎹烏デス。ドウカ食ベナイデ下サイ。」
それを聞いて三人は固まった。
しかしすぐに千寿郎はパッと顔を隠すように下を向いて肩を震わせ始め、杏寿郎は良い笑顔を浮かべる。
杏「なるほど、そういう事か!桜!!よかったな!!!」
「え!?全然よくないですよ…猫って鴉食べるんですか…?私そんな凶暴じゃないのに…。」
そう落ち込むと、杏寿郎は笑顔のまま庭を囲む塀を指差した。
杏「いや、朗報だぞ!!」
「……え…?」
杏寿郎が指差した先をよくよく見ると一羽の鴉が頭だけ覗かせている。
だが、桜の視線に気が付くとピャッと隠れてしまった。