第3章 新しい世界
「…ん?」
気が付くと顔を真っ赤にしている千寿郎。
千「あの…桜さま、その……人の姿も見ているので少し恥ずかしい、です。」
「…あっ」
急いで顔を離す。
「ご、ごめんなさい!昔、この姿をした本物の神様が私によくこうしてくれていたの。だからか自然な行動のように思っちゃってたみたい…。」
そう慌てて弁明すると、
千「本物の…神様……?」
千寿郎は不思議そうな顔をした。
「……うん。記憶喪失ではなく私は本当に人間なの。それで、さっき言った本物の神様がこの猫の姿をしてたの。」
「その神様は私と友達になって体を失ったけれど、代わりに私の胸の中にずっと居てくれてるんだ。」
「だからこの姿になれるのかな…こんな事今日が初めてでよく分からないや…。」
そう言いながら俯く。
千「そう…なんですね…。」
千寿郎はまだ難しそうに眉を寄せて困った顔をしている。
(そう簡単に信じられる話じゃないよね……)
そう思い俯くと、千寿郎が慌てた。
千「すみません!…嘘を言ってるとは思ってないのですが、頭がついていかなくて…。」
それを見て桜は、気にしないで、と柔らかな声色を出した。