第3章 新しい世界
そう考えていると青年はバッとこちらを向き、
杏「俺は煉獄杏寿郎という!気の済むまでゆっくりしていって欲しい!」
と笑顔でハキハキと元気よく言った。
いつ振りかも忘れるくらい久しぶりに若い男性と目を合わせた。
風変わりな色の目だったが、とにかく真っ直ぐで、燃える炎のように情熱が溢れていた。
怖くて仕方なかったはずなのに、その目を見たら思わず、
(…素敵な人だな………。)
と思ってしまった。
ふと視線を感じそちらに目を向けると、千寿郎が眉尻を下げてこちらを見つめていた。
桜は申し訳なくて目をぎゅっと閉じて耳を伏せる。
千寿郎はそれを見るとさらに困ったように首を傾げた。
だが急にハッとして、杏寿郎を見る。
千「兄上!任務から帰ったばかりでお疲れでしょう!握り飯を用意してあるので召し上がってゆっくりお休みになられてください。」
そしてちらっと桜を見ると、
千「…桜さまは、お家に案内してもよろしいでしょうか?」
と訊いてくれた。
そう言われると杏寿郎は千寿郎の両肩を掴んでしっかりと目を合わせる。
杏「うむ!いつもありがとう!それからそうだな…手厚くもてなそう。案内して差し上げてくれ!」
千「はい!」
ぽんぽんと頭を撫でられ千寿郎は嬉しそうに返事をした。