第3章 新しい世界
千「………桜さま?」
千寿郎は困惑した。
(ごめんなさい…!!)
申し訳なく思い桜は目を逸した。
青年は桜を見つめて、
男「桜さまというのか!まるで人の様だが良い名だ!」
と言い口角を上げる。
男「それに千寿郎の言う通り本当に美しい!お姿もそうだが纏っている雰囲気が神々しいな!だが…」
青年は少し眉尻を下げて千寿郎に顔を向けた。
男「残念だが兄は信心が足らないようだ。猫の鳴き声のように聞こえてしまいお言葉が分からない。」
と少し残念そうな声を出した。
千「…そう、ですか……。」
ずっと目を逸らしていた桜は、おそるおそる青年へ目を向けた。
すると、千寿郎と同じ燃える炎のような髪色の青年が、片膝をついて隣にいる弟の頭を優しく撫でている様子が見えた。
千寿郎と違うのは堂々とした雰囲気とキリリと上がった眉だろうか…。