第21章 受け入れる決意
桜はその言葉に少し瞳を揺らすと、視線を逸した。
その "環境" が未知だったからだ。
それを見て杏寿郎はまた優しく頭を撫でる。
杏「先の事を不安に思うのは分かる。だが、君の心に余裕が無くなれば俺が作る。君だけが完璧に頑張る必要は無い。二人で支え合っていけば良いのだと、俺は思う。」
それを聞いて桜はまた杏寿郎に視線を戻すと呆けたような顔をした。
「…二人で…………?」
杏「俺は君曰く押しが強いらしい。そして今が押す時だとも思う。」
杏寿郎は意志の強い目を向ける。
杏「舌は入れない。嫌じゃなければ俺を受け入れてくれ。」
そう言うと優しく口付けを始めた。
桜は戸惑いはしたが、杏寿郎が舌を入れないでいてくれる為少し余裕がある。
(さっきの舌の方をやれば絶対抵抗できなかったのに…。)
桜はこんな状況なのに少し心が温かくなった。
(まだ会って間もない…けど、こんなに愛しく思える人っているのかな……。)
目を閉じながら優しく口付けを繰り返す杏寿郎を盗み見て、桜は困ったように眉尻を下げると 自身も目を閉じる。