第21章 受け入れる決意
それを聞いて桜は固まった。
あんなに言うまいと決意していたのに、勢いに飲まれ呆気無く自身の意志を曲げてしまったのだ。
桜は眉尻を下げて杏寿郎を見上げる。
「聞かなかった事にすることは、」
杏「出来ないな!」
桜は杏寿郎に言い終わらないうちに食い気味に返されてしまった。
だが、まだこれから環境ががらっと変わる。
(約束は簡単に出来ない…。)
桜は自業自得とは言え、酷く困ってしまった。
その様子を見て、最初は嬉しそうにしていた杏寿郎も眉尻を下げる。
杏「君の考えは、俺の気持ちに真剣に向き合ってくれているからだとは理解している。尊重すべきだとも思っている。」
そう言いながら優しく桜の頭を撫でる。
杏「だが、」
杏寿郎は手を止めてじっと桜の目を見つめた。
杏「俺を想う気持ちがあれば、それだけで良い話なのではないのか。環境が変われどそれに対応していけば問題は無い筈だ。」