第20章 ※一人で
杏「…っ!…桜、すまない。あまり動かないでくれ。」
そう言うと杏寿郎は桜から距離を取った。
桜はハッとして申し訳なさそうな顔になったが、すぐに目を大きくして黙り込んだ。
杏寿郎も桜が掛け布団から出た自身の下半身を見たことに気が付き固まる。
杏寿郎の浴衣は盛り上がり、昂りの存在を全く隠してくれていなかったのだ。
桜は再びハッとすると思い出したように慌てて顔を手で覆う。
「あの、何も…見てない、ので……。」
そう言っても部屋は静かなままで、桜は不安になった。
しかし手をどかす勇気もなくそのまま杏寿郎の出方を伺っていると、杏寿郎は呆気無く布団へ入ってきた。
「…え?…杏寿郎さん…?」
手の隙間から様子を見ると、どこか吹っ切れたように微笑んでいる杏寿郎がいた。
杏「おいで。」
杏寿郎が片手を伸ばしたので、桜は導かれるまま杏寿郎の胸にぽすんと収まった。
(自慰ってあんなすぐ終わるんだ…ちょっと見ちゃえばよかったかな……。)
そんな事を考えていると、また太ももに大きく主張する物が当たる。
「……え、あれ…杏寿郎さん、自慰は終わったのではないのですか…?」
杏寿郎はそれを聞くと眉尻を下げて微笑んだ。