第20章 ※一人で
杏「いや、抑えようとしていただけで触れてもいない。きっと放っておけば収まる。…今日はもう寝よう。」
「は、い……。」
(私はさっきとても辛かったけど…大丈夫なのかな……。)
桜は杏寿郎の胸に顔を埋めながらも、心配で全く眠くならなかった。
それから長い時間、互いに話さずにいたので 桜は杏寿郎がもう寝てしまったのだろうかと顔を確認しようとした。
「…っ!!」
杏寿郎は目を閉じてはいたが、眉を顰め、先程より多くの青筋を浮かべて汗を流していた。
自分でなんとかしようとしたが想いを寄せる女性と同じ布団で寝ていた為 全く収まらず、むしろ大きくなった欲と戦っていたのだ。
(呼吸が静かだったからこんなに苦しそうにしているなんて気が付かなかった…!どうしよう…!)
桜は厠に行くのを止めてしまった事を悔いた。
今、厠を勧めたら追い出してしまうような形になるのではと悩んでしまう。
しかし、自身の前でするのも嫌がっていた事を思い出す。
(どうしよう…。私が背中を向けてれば出来るのかな…。)
桜は喉をこくりと鳴らすと杏寿郎の胸に手を当て優しく揺すった。
「杏寿郎さん…大丈夫ですか…?私、背中を向けてるので気にしないで自慰をしてください。」