第20章 ※一人で
「あ………ごめんなさい…。その、い、厭らしい目で見ていた訳では……、」
桜が赤くなって俯き、しどろもどろに話しても杏寿郎は動かない。
見ようとされたのは問題ではなかったが、桜がもぞもぞと動いた際に杏寿郎は下半身をかなり刺激されてしまっていたのだ。
それを知らない桜は、不安になってもう一度杏寿郎の顔を伺うと額に青筋が浮かんでいる事に気が付く。
「…えっ!!」
桜は怒らせてしまったのかと酷く動揺した。
そして動揺した際に桜が体を揺らすと、杏寿郎が小さく呻くような声を上げる。
「…杏寿郎さん?」
杏寿郎の顔からは笑顔が消え、代わりに険しい表情が浮かぶ。
そして次の瞬間桜の太ももに何かが当たった。
桜は不思議に思い、太ももで確認するように軽く足を動かす。
杏「……っ!!!」
足の動きと連動するように杏寿郎が体を震わせた。
その様子を見て桜は固まると徐々に状況を把握し、赤くなっていく。
「きょ、杏寿郎、さん……?」
話しかけられると初めて杏寿郎はちゃんと桜と目を合わせた。
杏「すまない。堪えたのだが勃ってしまった。」
そう短く言うと杏寿郎は布団を出ていこうと上半身を起こした。