第20章 ※一人で
その言葉に桜は負けを悟った顔をした。
桜の女友達は皆、彼氏との性的な話をする時に『桜は汚したくないから聞かないでー!』と保護してきたのだ。
「私の友達は…私には教えてくれませんでした…。」
途端に元気がなくなった桜に杏寿郎は一瞬目を大きくしたが すぐに目を細めて笑った。
そして桜の頬を指の背ですりっと撫でて優しい声を出す。
杏「では俺から教えられるまで待っていてくれ。」
「…っ!!」
桜はぶわっと赤くなって撫でられた頬を抑えた。
「えっ…あ…………、」
動揺を全く隠せない桜が愛らしくて、杏寿郎は微笑む。
杏「愛いな。」
そう言うと覆われてない方の頬をまたすりっと撫で上げた。
するとビクッと桜の体が跳ねる。
杏「それで、学校では他にどんな事を習ったんだ?」
そう聞かれると桜は眉尻を下げて杏寿郎を見上げた。
他の科目のことを言っている訳じゃない事くらい、分かる。
先程までは知識の多さで競っていたのに途端に桜は恥ずかしくなった。
「杏寿郎さん…何だか意地悪じゃありませんか…?……特に他には…習ってない…です、よ…。」
杏「虐める気は無いぞ。どこまで知っているのかを把握したいだけだ。…それに、君の嘘は分かり易いと言った筈だが。」
桜は思わずギクッと体を震わせる。
そんな桜の頬を杏寿郎は再び撫でて言葉を促した。
桜は、『他意なく本当にただ知りたいだけで訊いてるのも逆に困りものだな…。』と思いながら、口を開いた。