第19章 特異体質と未来への期待
杏寿郎が家路を急いでいる頃、桜はまた眠気と戦っていた。
(お見送りをできなかったからか、何となく不安…早く帰ってこないかな…。)
もう日付けを超えて二時間経っていた。
(私のお夕飯より前にここを発ったのに…何かあったんじゃ……。)
桜はそわそわとしながら白石を抱きしめた。
しかし廊下をうろうろと歩いていると千寿郎と鉢合わせし、客間へ押し込まれてしまう。
千寿郎はてきぱきと布団を用意すると眉尻を下げて桜を見つめた。
千「桜さんは明日も厳しい鍛錬をするつもりでしょう。しっかり寝てください!」
「…………でも、杏寿郎さん、あまりにも遅くないかな…。」
そう言うと千寿郎は桜の手を優しく握った。
千「なにも、鬼と長いこと戦っているとは限らないんですよ。鬼が隠れていて見つけるのに時間がかかることもあるんです。兄上を信じてください!」
そう言われ桜は眉尻を下げたまま微笑む。
(確かに杏寿郎さんはとても強い…。でも…千寿郎くんも心配だから起きてたんだよね…。)
そう思うと自然と俯いてしまう。
千寿郎はそれを見ると珍しく眉をキリッとさせた。
千「桜さんが兄上を心配するのと同じように、僕も桜さんの事が心配です。これからの任務に備えて ご自分の事に集中してください!」