第17章 覚悟と誠意、新しい関係
「…ごめんね、杏寿郎さんがいないのに勝手に話せないや……。」
力なくそう言うと桜は俯く。
それを見て千寿郎も慌てた。
千「だ、大丈夫です!気にしないで下さい!」
だが、千寿郎には腑に落ちない点があった。
桜が兄を恋慕の情を抱いて見つめていた事があったからだ。
千(なのに、何故兄上は片想いのような態度を……?)
しかし、二人なら上手くいく気がして、桜が本当の姉になるかもしれないと思うと頬が緩んだ。
千「……………姉、上…。」
桜はそう呼ばれて驚き顔を上げる。
千寿郎は柔らかい表情で見つめていた。
千「…これ以上は聞きません。安心して下さい。」
それを聞いてやっと桜の肩の力が抜ける。
だが、千寿郎は ぱあっと花咲くような笑顔を浮かべてこう続けた。
千「…ですが、早く本当の姉上になってくれたら僕はとても嬉しいです!!」
その言葉で千寿郎が大体の事を悟っていたと分かり、桜はまた赤くなったのだった。