第97章 【番外編】花火大会
「だ、だめです!」
昔のようにキスしているところを撮られると確信した桜は杏寿郎から距離を取る。
すると機嫌良くしていた杏寿郎の顔は一変した。
杏「外で離れるなと言った筈だ。」
「スマホから離れてます。アプリを閉じてください。」
それを聞くと杏寿郎はすぐにアプリを閉じた。
そして大股で桜に近付くとぐいっと手を引いて胸に顔を埋めさせる。
杏「すまなかった。だが、離れる程嫌なら離れるぞと先に言ってくれ。」
「……はい。」
桜は杏寿郎の肩越しに花火を見ながら『想像していた花火大会と違う』と思っていた。
―――
(……………………………。)
「杏寿郎さん…、その、お手洗いに行きたいのですが……。」
杏「うむ。分かった。」
限界まで耐えた桜は恥から頬を染めつつ礼を言った。
杏寿郎は桜をトイレへ導くと腕組みをしてじっと桜を見つめた。
「え……?さ、さすがにドアの前で待つのはやめてください…!」
杏「だが、」
「ぜっっったいに駄目です!!」
杏「……むぅ。では戸が見える位置で妥協しよう。」