第97章 【番外編】花火大会
「ありがとうございます!」
(……杏寿郎さん、遅いな。息、長くもち過ぎじゃないかな。)
そう思って再び桜が川に身を乗り出した時、手摺りに置いた手が滑った。
「わぅっ」
杏「桜!!シーバスが捕れたぞ!!50cmはありそうだ!!!」
手摺りに額をぶつけて涙目になっていた桜は杏寿郎の輝く笑顔とビチビチと暴れるシーバスを見て眉を寄せた。
「早く川へ返してあげてください!」
杏「……むぅ。」
杏寿郎は喜んで貰えると思っていたのか、眉尻を下げながらリリースした。
そしてざぶざぶと水を掻き分けて船に寄って来る。
桜は船を濡らさないように大量のタオルを敷き、杏寿郎を迎えた。
杏「ありがとう。君のカメラだが、これで間違いないだろうか。」
そう言って腕にぶら下げてある3つのうちの1つを指差す。
桜は杏寿郎が川の中でカメラを複数個見つけて長くなっていたのだと知り、少し困った様に微笑んだ。