第97章 【番外編】花火大会
翌日―――、
2人は結局時間まで家で過ごすと浴衣に着替え始めた。
「まだ見ちゃだめですからね。」
杏「ああ。」
そう穏やかに返事をする杏寿郎は着付けながらちゃっかりと桜の後ろ姿を見つめている。
そして桜が帯の結びに入ったところで壁の方を向いた。
杏「着付け終わったぞ。そちらはまだか。」
「あとちょっとです…!帯を少し華やかにしたくって…!」
桜は手に力を込めながらそう言い、帯を結んでいく。
杏(あまり目立っては欲しくないのだが…いや、隣に居るうちは好きにして良いと言った。約束は守ろう。)
「…できました!」
そう言いながら桜が振り返って『もういいですよ!』と言うと杏寿郎は再び桜の方を向き、初めて見たかの様にぱあっと表情を明るくさせた。
杏「愛らしいな!よく似合っている!!こういった色は向こうで着なかったろう。新鮮だ。」
「ふふふー。」
桜はふにゃっとした笑みを浮かべると杏寿郎の浴衣姿を改めて見つめて頬を染めた。
「杏寿郎さんも…とっても似合ってます。格好いいです。これは苦労しそうだなあ…。」
杏「俺よりはましな筈だぞ。」