第97章 【番外編】花火大会
「……今回だけですよ…。」
杏「ありがとう。……君は本当に俺が大好きだなあ。」
杏寿郎はもう喧嘩にならないように小さな小さな声でそう付け足した。
2人は家に入ると仲良く手洗いうがいをし、仲良くキッチンに立った。
桜は杏寿郎をキッチンに立たせる事に抵抗を感じていたが、杏寿郎があまりにも食い下がるので『一度だけ』と許した事があった。
そうしたら思いの外幸せを感じた為、度々手伝ってもらうようになったのだ。
杏寿郎は火を扱えないので、主に皮剥きの作業を担っているのだが、こぶし大のじゃがいもはいつもうずらの卵程の大きさになるまで皮を剥いてしまう。
つまり、正直なところあまり役には立っていなかったが、桜はそれを指摘せず心底嬉しそうにしていた。
「杏寿郎さんのじゃがいもは今日も可愛らしいですね。」
杏「そうだろうか。」
「人参もベビーコーンみたいで可愛いです。あ、じゃがいもの皮はマッシュポテトに、人参の皮はきんぴらにするので取っておいてくださいね。」
杏「了解した!皮も使い道があるのだな!」
杏寿郎はそう言いながら皮という名の実をボールに取り分ける。
そうして桜は杏寿郎が削ってしまった物も上手く活用していた。