第96章 夢が叶う時
そうして桜達は子供のめでたい日を祝いながらも2人のペースで過ごした。
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天「俺達が主役だってのに…。」
彩「仕方ない。毎日あの調子だもの。」
天「……お前も『両親に憧れる』とかあんの?」
彩「ある。2人は昔から私の嫉妬の、つまり憧れの対象だったから。」
そうキッパリと言い切る彩火の視線の先では明らかにテーブルの下で杏寿郎が桜の手を握っている。
桜は相変わらず赤くなっているが、彩火は桜がその赤さを見せるのは杏寿郎が絡む時ばかりであることをよく知っていた。
彩(……2人を見ていると新婚の2人を見ているような気になる。難しいかもしれないけど私もいつまでも温かい家庭を築きたい。)
桜があまりにも赤くなるので面白がった杏寿郎が桜の頬に甘く触れると彩火は再び立ち上がって司会のマイクを取り上げる。
彩『お父さん、いい加減にして下さい。』
そう言うと会場の客の視線はバッと杏寿郎達に集まり、頬を触れられている桜は恥からくらくらと目を回した。
杏「桜!大丈夫か!!恥を覚えて意識を飛ばしそうになるとは相変わらず愛らしいな!!すまないが少し別室で休ませてもらう!!!」
「ま…、まってくださ、」
杏「駄目だ!!!」
主役の両親がいちゃついた挙句そのような事を言って退場すると彩火は深い溜息をつく。