第96章 夢が叶う時
元鬼殺隊の教師陣はもう定年退職をしていたり、他の職に就いたりと意外にもバラバラとしていたが 2人が一緒に辞めると聞いて久しぶりに集まり、お疲れ会を開いてくれた。
その帰り、杏寿郎は嬉しそうな微笑みを浮かべながら桜の手を握る。
杏「いつまでも、しわくちゃになろうと君と歩く時はこうして手を繋ぎたい。色々な所へ出掛けよう。俺が連れて行くと約束する。…そして、64歳の誕生日は君と迎えたい。君に祝ってもらいたい。」
(独りで63歳まで生きたって言ってた。独りでいた時間はこんなに…ううん、まだまだこれより長かったんだ…。)
「もちろんです。」
それからの2人は毎日手を繋いで出掛けておしどり夫婦として更に有名になり、国内にも国外へも旅行しに行った。
「……?…杏寿郎さん……。」
杏「ふむ。」
ヨーロッパの某国で観光名所をぶらついていると人懐こそうな現地の若者が近付いてきて片言の日本語で自身が親日家である事を伝え、他愛もない話をした後に『ぼくとあなたたちはもう友達』『プレゼントをあげる』と言い出したのだ。
根が素直な2人は微笑みながらその "プレゼント" であるブレスレットを付けてもらったがそこからが問題であった。
話し掛けてきた人懐こそうな男が急に行方をくらまし、代わりに体の大きな男2人がブレスレットの代金を請求してきたのだ。