第96章 夢が叶う時
厚「おはよう、桃寿郎。」
厚寿郎がリビングに駆け込んできた桃寿郎を微笑ましそうに眺めながら声を掛けた。
桃「おはようございます!!朝飯はどこですか!!!」
厚「朝ごはんは母さんがお盆に取り分けてくれていたよ。お味噌汁は鍋にあるから…いや、俺がやる。桃寿郎は先に他のを食べてて。」
桃「分かりました!!」
厚寿郎は桃寿郎と入れ違いに台所へ入ると火を付け、味噌汁を軽く温める。
厚(何故か桃寿郎に火を使わせるのが怖いんだよな…。)
そんな心配をされているとは露知らず 桃寿郎は急いで支度をすると家を飛び出し、同じく学校へ向かって走っている炭彦を見付けると一緒に走って登校したのだった。
家に残された厚寿郎は息をつくと午前から大学へ行っている璃火の事を考える。
厚寿郎と仲の良い璃火は大学も同じところへ進んだ。
今は璃火が1年生、厚寿郎が4年生だ。
璃火はやはり桜以上に隙だらけの性格に育ってしまった為 大学に入ると早くも軟派な男に群がられたが、初日から厚寿郎のガードと冷たい睨みによって大分落ち着いたのだった。
上の三つ子は無事就職し、社会人1年目となった為ひとり暮らしを始める―――予定だったのだが、結局3人でルームシェアをしている。
杏寿郎は彩火のひとり暮らしを心配していた為 ほっとしていたが、桜は天満の事を思うと2人きりになれるチャンスの少なさに少しだけ同情した。