第96章 夢が叶う時
杏「……遅いな。」
「遅いですね。」
朝食が終わってもリビングへやって来ない桃寿郎に嫌な予感を覚えた杏寿郎と桜は着替えると再び道場へと向かう。
杏「桃寿郎!!桃寿郎!!!」
―――バチンッ
(う…痛そう……。)
杏寿郎の大声にも反応せず、取り上げた筈の竹刀も再び握ってきりが無い為 杏寿郎は仕方無く桃寿郎の頬に強烈なビンタをかました。
すると桃寿郎は目をくるくると回しながら尻餅をつく。
桃「父上!!母上!!おはようございます!!!」
杏「桃寿郎…やっと言葉を話したな。何時からやっている。熱心なのは良い事だが度が過ぎると毒になるぞ。」
桃「朝4時です!!朝と呼べる時間帯なので問題はないかと!!!」
「……うーん…早いかな……。」
桜は父と息子の話の邪魔にならないよう、なるべく小さな遠慮気味の声を出した。
すると杏寿郎は1歩後ろに下がっている桜の肩を抱いて自身と同じ位置まで前に出させる。