第96章 夢が叶う時
杏「何度も言うが、これは会得しようとしないこと。慶寿郎、悠寿郎、守れるな。」
慶&悠「「はい!!!」」
そう返事をする2人の横で桜は桃寿郎の目を覆う。
桃「母上!!まえがみえません!!!」
「そうだねえ。」
杏「桃寿郎は真似てしまいそうだからな。そのまま桜の腕の中で大人しくしていると良い。」
桃「はい!!!」
そうして場が整うと杏寿郎はすらりと剣を抜いた。
三つ子達はその赤い刀身の美しさに目を見張り、桜は懐かしさから目を細める。
しかし、杏寿郎が構えると途端に空気が重くなり その気迫とピリついた空気から4人は冷や汗を流した。
(……こんな風だったっけ…平和ぼけしてしまってたのかな。でも杏寿郎さんも杏寿郎さんだ。鬼のいない世でこんな殺気を放てるなんて…。)
散々杏寿郎に殺気を使わせていた張本人はそんな事を思いながら喉をこくりと鳴らす。
その次の瞬間、杏寿郎はスッと足を開いて桜も見た事のある特定の構えをした。
(あ……、)
杏「炎の呼吸、壱ノ型―――不知火!!!」
ボウッと横一直線に走った炎のようなものを見て三つ子は口を開けたまま固まる。