第96章 夢が叶う時
彩「きのう、お父さんは『そろそろ型を見せても良いかもしれないな。』と言いました。」
杏「…ああ、なるほど。」
いつもならすぐに鍛錬を始める慶寿郎と悠寿郎も彩火と同じように瞳を輝かせながらちょこんと道場の隅に座っている。
桃「はぁっ、はぁっ、」
彩「悠お兄ちゃん桃寿郎を止めてきて。じゃまになっちゃう。」
悠「うむ!!」
彩火の隣に居た悠寿郎は彩火に頼まれると桃寿郎に駆け寄り、羽交い締めにして隅まで引き摺った。
そうして場所が空くと三つ子は改めて杏寿郎を見つめる。
「私も皆と一緒にみなきゃ。」
そう言いながら桜も子供達の列に加わると 杏寿郎は笑いながら壁に飾るように掛けてある日輪等まで歩み寄った。
舞を教えるにあたって元となった本当の型を見せて欲しいと子供にねだられた事はこれまでに何回もあった。
しかし杏寿郎は1度も見せなかった。
それが戦いの為の型だったからだ。
それでも三つ子、特に桜から聞いた炎の虎を見たかった彩火は食い下がり、分別のきく年齢になったら見せてもらうという約束になっていた。