第96章 夢が叶う時
杏「どうだろうな。だが無理はしていないぞ。」
「…そうですか。でも、確かに隠しているというよりも柔らかくなられました。」
そう言って桜が杏寿郎の頬を撫でると杏寿郎は息子から視線を外して桜を見る。
杏「頬がか。」
「表情が、ですよ。」
桜が嬉しそうに にこにこと微笑んでいると杏寿郎も桜の頬に触れ、『君は昔から頬も表情も柔らかい。』と言いむにむにと摘み始めた。
そんな2人の背後からトタトタと走る足音が近付いてくる。
慶「父上!お母さん!おはようございます!!」
悠「おはようございます!!」
彩「おはようございます。」
杏寿郎達が互いの頬を摘みながら振り返るとまだ寝癖がついている三つ子が走ってきて、あっという間に通り過ぎると道場に礼をし入っていった。
杏「おはよう!2人も早いな!!彩火は見に来たのか、珍しいな!!」
「みんなおはよう。」
彩火は槇寿郎に剣道を遊び半分で教えてもらった事があったが、何しろよく転ぶので桜と同じような体をあまり動かさない習い事をするようになり 今日のように道場へ来ることは珍しかった。