第96章 夢が叶う時
そんな風に三つ子は少し周りの環境を気にするようになったが、両親を想う気持ちの強い子供達であった為に特に親に文句をつけたりはせず ただ『友達には両親が未だいちゃついている事は隠そう』と決めた。
そんな三つ子たちがあっという間に小学6年生になる頃 厚寿郎は同じ学校の4年生、そして璃火もまた同じ学校の1年生となる。
幼稚園は女子幼稚園に入れたのだが、璃火がどうしても仲の良い厚寿郎と同じ小学校が良いと頑固に言い張ったからだ。
杏寿郎も食い下がったが、『きいてくれないならパパのこときらいになるし、もうおはなしもしない。』と言われるとあっさり折れた。
杏「大丈夫だろうか。変な男に手を出されたりするのではないだろうか。」
「大丈夫だとおもいますよー。」
穏やかに返しながら髪の毛をブラシで梳いている桜を杏寿郎はパッと振り返る。
杏(髪と瞳の色こそ違えど璃火と桜は瓜ふたつだ。桜も小学校からは共学だと言っていたな。)
杏「桜。君は共学の学校でどうして無事でいられた。」
その問いに桜は手を止めて振り返りきょとんとした。
「杏寿郎さん、 "共学" ですよ。男の子だけがいる場に行くわけではないんです。私の場合は男の子ではなく女の子の友達の方がずっと近くにいましたよ。璃火もそうなるんじゃないかなと思っています。」
杏「………そうか。」
杏寿郎は桜を守ろうとしたしのぶや蜜璃を思い浮かべると少し納得したように頷く。