第96章 夢が叶う時
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それからも璃火のドジは上の子等や両親によって回避されたが、幼稚園へ行くようになるとそうはいかない。
よくひとりでに怪我をして帰ってきていた。
杏「君は自身の傷を癒せたが璃火はそうはいかない。このままでは傷跡だらけになってしまう。」
「全部ちゃんと手当をしているので跡になっていませんよ。」
杏「だが…、」
杏寿郎の心底心配そうな顔に桜は少し悪戯めいた笑みを浮かべる。
「一緒にお風呂に入れたら確認できて安心できるのに困りましたね。」
杏「むぅ。」
杏寿郎は璃火と風呂に入った事がない。
璃火が拒否したからだ。
杏「何故俺は駄目なんだ。」
「知りたいですか?実は先月教えてもらったんです。」
そう言うと杏寿郎はすぐに食い付く。
桜の両肩を強く、優しく掴むと 大きな瞳で桜の顔を覗き込んだ。