第96章 夢が叶う時
そんな両親の気持ちなど露知らず、自身のことを "りつ" と呼ぶようになった璃火は兄や姉に世話を焼かれれば にこにことしながらも『もうりつはおねえさんだから。』と断ろうとする。
彩「でも私の妹だよ。」
彩火は自身よりドジで放っておけない璃火をよく構うようになり、この日も『1人で食事を取る』と言い出した璃火に『まだ早い』と一番早くに言って止めさせようとした。
桜はもう手掴みで食べ始めても良いと思っていたが、子供達のやり取りを杏寿郎と共に見つめている。
慶「璃火は鼻にたべさせかねないぞ。」
璃「おくちでたべるよ。」
彩「のどがつまると死んじゃうよ。」
璃「…………おねえさんはごはんで死なないよ。」
流石に生命の危機を知らされては璃火の声も小さくなり、その様子に潮時だと思った桜は微笑みながら間に入った。
「お兄ちゃん、お姉ちゃん、心配してくれてありがとう。璃火、じゃあ1人で食べてみようか。その代わり、彩火お姉ちゃんの言う通り詰まらないようにお母さんがちゃんと見てるからね。」
璃「うん!!」
桜の言葉に璃火は嬉しそうな声を出し、彩火は安心したように息をつく。
「と言うことなので杏寿郎さんは桃寿郎のご飯をお願いできますか?」
杏「うむ!!勿論やるぞ!!!」
杏寿郎は頼られると張り切り、桃寿郎の山盛りのご飯に手を伸ばした。