第95章 続々と
杏寿郎の言った通り 瑠火と子供5人を乗せた車は槇寿郎の運転によりすぐに病院へ到着した。
置いて行かれた槇寿郎は心配から少しぷりぷりしていたが 瑠火にぴしゃりと何か言われると大人しくなった。
そしてそんな槇寿郎に言葉を向けられていた肝心の杏寿郎は桜と一緒に分娩室にいる。
6人共立ち会い出産なのだ。
杏寿郎は甲斐甲斐しく桜の汗を拭い、何度も頭を撫でて相変わらず静かに頑張る桜に『声を出しても良いのだぞ』『その調子だ』『偉いぞ』と繰り返した。
お産はとても順調に進み、桃寿郎は世界記録を更新する勢いで出てきた。
杏「桜!よく頑張ってくれた…偉いぞ、よく頑張ったな。ありがとう。」
一度は6人から減らしたいと言ったにも関わらず自身の希望を聞いてやり遂げた桜が愛おしく、杏寿郎は産湯の最中でさえありとあらゆる褒め言葉を桜へ贈った。
それを聞いて少しくたりとした桜は微笑み、いつまでも逞しい旦那と末っ子を見て目を細める。
「……幸せです。」
桜はそうシンプルな言葉を返すと温かく幸せな涙を流したのだった。