第95章 続々と
「うん。お母さんも大好きなんだ。でもね虎だけじゃないんだよ。燃える龍も綺麗で……、」
そこで言葉を切ると桜はタンッと床に手をつく。
璃「…………まま…?」
彩「お父さん……お父さんッ!!!」
彩火は腹を押さえる桜の背中を撫でながら生まれて初めて大声を出した。
杏「始まったか!!彩火、よく知らせてくれた!ありがとう!!桜、すぐに連れて行くので安心しろ!!!」
杏寿郎はそう言いながら わしゃわしゃっと彩火の頭を撫でると桜を抱えて足早に車へと向かう。
そして玄関から大声で両親に状況を手短に話すと返事を待たずに車を出した。
「……お義母さままで置いてきてしまいましたが…、」
杏「む!そうだったな!!気が急いてしまった!!だが俺がずっと付いているので安心してくれ!!荷物などは母上がきちんと持ってきてくれる!間違いなく出産より前に届くぞ!!心配する事は何も無い!!!」
そんな杏寿郎らしい力強い言葉を聞くと桜は痛みに汗を流しながらも微笑んだ。