第95章 続々と
彩「桃寿郎はお兄ちゃん達みたいに速く走れそうだね。」
「……ごめんね、彩火。お母さんもよく転んだの。かけっこでビリじゃなかったことないんだ。」
それを聞くと かけっこを拒否して早歩きで乗り切った強者の彩火は目を大きくさせた。
彩「彩火、めつきだけじゃなくて はしれないところもお母さんににてる?」
「え?目付き?」
杏「似ているぞ!プールではしゃいでいる姿は桜の幼い時を見ているようで大変可愛らしかった!!」
その言葉を聞くと彩火は満足気な幼い笑顔を見せながら杏寿郎にもたれ掛かる。
杏「む、桜の真似だろうか。」
彩「そう。」
「ふふ、彩火はツンデレさんだねえ。」
そんな緩いやり取りをしているとトタトタと足音が近付いてきて慶寿郎と悠寿郎が3人と璃火が居る部屋の前を走って行くのが見えた。
しかしその足音はすぐに止まり2人は歩いて戻ってくる。
慶「彩火、なにしてるんだ。」
悠「母上、お体はだいじょうぶですか。」
彩「………………。」
「大丈夫だよ。彩火は桃寿郎に挨拶してくれてたの。」
そう言うと慶寿郎と悠寿郎は声を揃えて『俺もあいさつします!!』と言った。
杏「大集合だな。慶寿郎、厚寿郎はどうした。一緒に道場に居た筈だろう。」
杏寿郎の言う通り子供達は午前中 槇寿郎と共に道場で戯れる事が日課となっている。
父親に質問されると慶寿郎はピッと姿勢を正した。