第95章 続々と
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夏といえる月は終わったが そうは言っても残暑はなかなかしつこく続き、杏寿郎の部活の生徒達も参っているとの事だった。
「剣道場は暑いですよね。音楽室はクーラー付いていますが…。」
杏「うむ。俺はあまり気にならないがな!」
「ふふ、さすがです。」
ある日曜の昼、妊娠8ヶ月となり腹も随分と大きくなった桜は璃火が眠るベビーベッドの側に座りながら杏寿郎の話を聞いて可笑しそうに笑っていた。
8ヶ月でも最初が三つ子だっただけに桜は大変そうな顔を一切見せない。
杏「君の体調はどうだ。」
「すこぶる良いです。順調ですよ。」
杏「そうか。四男はどのような子に育つのだろうな。」
長男次男である慶寿郎と悠寿郎は見た目や喋り方こそ杏寿郎に似ていたが、杏寿郎特有の真っ直ぐ過ぎる性格ではなかった。
運動神経も頭も良かったがまだ幼いにも関わらず若干自身等を過小評価するところがあり、自身の意見もスパンと言わない。
相手によって自身の意見を曲げ、偽る時があるのだ。
しかしそれは常に悪い方に働くことがなかった為 両親は気を遣える優しい性格なのだと評していた。
そして厚寿郎は言わずもがな見た目も性格も杏寿郎にそれ程似ていない。
しかし穏やかな性格だった厚寿郎は天満と関わるうちにたまに辛辣な言葉を選ぶようになった。