第95章 続々と
そして杏寿郎の失言の直後は隠していた泣き顔も今はすっかり晒してしまっている。
一度引っ込んだ涙は再び復活してしまったものの杏寿郎を満足させるまで流れるとぴたりと止まった。
「ありがとうございました…すごく安心しました……。」
そう言って桜がすんっと鼻を鳴らしながら杏寿郎を見つめると杏寿郎はにこっと微笑む。
杏「そうか。」
そう短く言い、そして桜の頬を両手で包むと杏寿郎は笑みを消し 少し心配そうな真剣な顔を向けた。
杏「何度も言うがこういった事は全く苦でない。むしろ隠される方が辛い。これからは泣きたくなったら遠慮せず俺に言うこと。約束してくれ。」
「はい。」
桜は穏やかな声で返事をすると大切そうに杏寿郎の頬に両手を伸ばし、白く小さな手で包む。
杏寿郎は返事を確認するとその手に自身の手を重ね、もう片方の手で桜が寝付くまで頭を撫で続けたのだった。
そうして桜のマタニティブルー問題は解決し穏やかに過ごしていると あっという間に夏が終わりかける。
杏「上の3人だけでも早くビニールプールでも学校のプールでもない、大きなプールを見せてやりたいな。」
「そうですね。」
幼稚園と小学校でプールデビューをした三つ子達は大変プールが気に入り、槇寿郎は滑り台が複数付いているテーマパークの一部ようなお高いビニールプールを購入した。