第95章 続々と
「ふふ、お母さんは彩火のだったんだねえ。」
そう嬉しそうに言う桜の笑顔は少し幼く見え、とても34歳には見えない。
相変わらず人を惹き付けるその笑顔を見て杏寿郎はもやもやとした感情を覚えた。
杏「桜。」
杏寿郎が再び低い声を出すと彩火に嫉妬したのかと勘違いした桜は呆れたような顔をして振り返る。
しかし杏寿郎の無表情を見ると事が予想より大きかったと気付き目を大きくさせた後冷や汗を流した。
「ごめんね彩火…。お兄ちゃん達と厚寿郎を連れてリビングで遊んでてくれるかな。」
彩火がこくりと頷いて桜から離れ、部屋から4人が出ていくと まだ幼い璃火、そして杏寿郎と桜が部屋に取り残される。
(何でいきなり怒ったんだろう……。)
そう思いながら桜が眉尻を下げていると杏寿郎は再び桜の片手首を掴んで軽く引き寄せた。
「わっ」
杏「保護者会で男と接触する機会はあるのか。何人だ。話し掛けられたか。どんな男が居る。」
保護者会は主に土曜に行われており、杏寿郎は朝に実家へ桜と子供達を預けてから部活に行っている。
そして桜は子供達を瑠火達に任せて帽子を被って外出し、1人で保護者会に参加していた。