第95章 続々と
「あ……、」
杏「慶寿郎と悠寿郎にも恋人はいないのか。」
杏寿郎は何事も無かったように2人に質問する。
すると2人は何故か意を決したような顔をしてピッと姿勢を正した。
慶「俺はお母さんを、」
杏「駄目だぞ。悠寿郎はどうだ。」
悠「お母さ、」
杏「駄目だ。2人は彩火より人間関係についての察しが良くないようだな。前にも言ったろう、桜は俺の…、」
「ま、待ってください!子どもが言う事をそんなに真っ向から訂正しなくてもいいじゃないですか。今だけですよ。」
杏「いや、この子等は俺そっくりだ。ずっと君に…、」
「あり得ません!!」
桜がそう言って赤くなりながら杏寿郎の手を自身の手首から剥がそうとしていると 彩火が近寄ってきてスッと杏寿郎の手を指差す。
「……?…………彩火?」
杏「どうし、」
彩「お父さん、お母さんをはなしてください。」
杏「何故だ。俺のなんだろう。」
彩「お父さんはお母さんのですが、お母さんは彩火のです。」
杏「……………………よもや……。」
彩火の発言を聞いて杏寿郎が思わず桜の手を離すと桜は堪らず彩火を抱き締めた。