第95章 続々と
槇「桜に似ているな。しかし小さすぎないか。」
瑠「ええ、桜さんに似て良かったです。とても可愛らしい。」
由「桜も産まれた時はこのくらいの大きさでしたよ。きっと大きくなればもっとそっくりになるでしょう。今から楽しみね。」
勇「……………………。」
勇之は相変わらず泣いていたが由梨以外の者ももう特に気にしなくなっていた。
そして皆何度も何度も祝いと労いの言葉を桜に贈った。
「ありがとうございます。ですが皆さんの助けあっての生活でした。私からもお礼を言わせてください。本当にありがとうございました。」
桜がそう礼を言いながら上体を起こそうとした為 杏寿郎は慌ててそれを止める。
杏「俺からもありがとうございます。……桜、何故起き上がろうとした。駄目だろう。」
「大げさですよ。このくらい、」
杏「では言い方を変える。俺の為に止めてくれ。心臓に悪くて仕方ない。」
そう言う杏寿郎を桜は愛おしそうに見つめ返して頷いた。
―――
璃火は成長する毎に桜に似ていった。
彩火の見た目も桜と似ていたが表情が異なるため受ける印象も大きく違っていた。
だが璃火は纏う空気も桜と似ていたのだ。
そして何より彩火は自己分析に優れていた為に簡単に転んだり失敗をしてしまう自身の欠点を自覚し、走らずに早歩きをする等 工夫を出来るような落ち着きがあった。
しかし、璃火はどうもそういった自覚が芽生える兆しが見られず非常に危なっかしい。