第95章 続々と
「まだ0歳の子に言う事じゃないかもしれませんが……なんとなく、少し心配です。」
杏「確かに君の独特な雰囲気を纏っているな。」
「え……、私に似てて心配だという話になってますか?」
杏「どう考えてもそうだ。今まで君が遭ってきたトラブルを忘れた訳ではないだろうな。俺はああいった隙を作った事がないぞ。」
「…………………………。」
桜は一瞬、『それは杏寿郎さんが男性だからです。』と返しそうになったが 女版の杏寿郎を想像するとトラブルに巻き込まれそうになかった為、自身が間違っていたと素直に認めて謝った。
『杏寿郎さんの仰っしゃる通りでした。』と言って思い詰めるような顔をしながら謝る桜を杏寿郎は優しく抱き寄せる。
杏「すまない。罪悪感を持たせるつもりはなかった。2人で…、いや、慶寿郎、悠寿郎、厚寿郎も守ってくれる。安心してくれ。」
いつまでも熱く居心地の良い腕の中に収まると抱いた不安は綺麗に溶けていき、桜は体の力を抜いて杏寿郎に身を預けた。
「……そうですね…。皆頼もしく、優しく育ってくれてます。」
杏「半年後には厚寿郎が幼稚園生、1年半後には上の3人が小学生か。幼稚園で璃火は厚寿郎とも被らない。入れる所はよくよく考えなければならないな。」
「そうですね。」
桜は気の早い杏寿郎の言葉にくすくすと笑い、腕の中を覗いた眉を寄せる杏寿郎に頬を優しく摘まれたのであった。