第95章 続々と
一方、杏寿郎は相変わらずピリピリとした空気を纏っていた。
杏「何故答えない。」
「……杏寿郎さんが何を言っているのか分からないからです…………。」
杏「先程あの子を格好良いと言ったろう。そして宇髄にそっくりだとも言った。君も宇髄を取り巻いていた女性のように、」
「待ってください!…そんな事…それは客観的に見てお顔が整ってるって話です!それに宇髄さんより杏寿郎さんの方が100億倍格好いいです!!」
天「お前らなぁ…いい加減にしろよ……。」
ハッとして横を見るとまきをと須磨の首根っこを両手に掴んでいる天元が青筋を浮かべていた。
「す、すみません…!!胸のうちに留めておこうと思っていたのですが……。」
桜は天元に深々と頭を下げたが、何も言わない隣の杏寿郎を不審に思うとパッと顔を上げる。
すると杏寿郎は天元をそっちのけにして桜に嬉しそうな顔を向けていた。
「杏寿ろ、」
杏「そうか!!宇髄は昔から色男として有名だったのだぞ!!それでも桜にとって宇髄は俺より100億分の1の男なのだな!!!」
天「その言い方やめろ!!なんなのお前ら!!もてなす気持ちも萎えるわ!!!」
他の大人に大声で怒られる両親を見ると慶寿郎と悠寿郎は目を見開いてぽかんとし、彩火はただ大きな目でじっと観察している。