第95章 続々と
それを静かに見ていた彩火が杏寿郎を見上げながらユキを指差す。
杏寿郎がそれに頷いて彩火を下ろすと彩火はユキの頬に触れ、そこを優しく撫でた。
ユ『……初めて会った桜を思い出す。同じように頬を撫でていたよ。』
「……そうだったんだ…。」
それから暫く、境内の端で6人と1匹は共に過ごし 桜は逐一子供とユキの行動や会話を杏寿郎と槇寿郎に伝えた。
―――
杏「彩火はもしかしたらと思っていたが、まさかしっかりと見えるとは思っていなかった。それに慶寿郎と悠寿郎まで…。」
「本当そうですね。」
槇「杏寿郎の血しか流れていないような見た目なのに不思議なものだな。」
杏「頑固な性格は桜に似ています。」
「きりがないのでそのお話にはもう乗りませんよ。」
桜が彩火、槇寿郎が慶寿郎と悠寿郎に気を配りながら杏寿郎の運転する車で煉獄家へ帰ると 大人3人は瑠火に一部始終を報告した。
瑠火は珍しく目を丸くしたが、すぐに『神様と縁を結べるとは喜ばしいですね。』と言って優しく微笑んだ。
―――
「では出発しましょうか。」
杏「うむ!!」
そう良い返事をする杏寿郎は双子用のベビーカーに慶寿郎と悠寿郎を乗せ、厚寿郎を抱っこひもで前に抱えていた。
桜は彩火の強い要望の元、彼女だけを抱っこしている。
今日は厚寿郎を連れて厚寿郎と同い年の天元の息子、天満の顔を見に宇髄家にお邪魔する予定だ。