第95章 続々と
「彩火、白い猫さん見える?」
そう問うと彩火は少し首を傾げながらも頷く。
確かに白かったが猫かどうかが分からなかったのだ。
ユ『彩火、慶寿郎、悠寿郎か。良い名、』
慶「はい!!」
悠「はい!!ちちうえ、ははうえ、……じぃじ。」
槇「じぃじは駄目だ。祖父上と呼びなさい。」
2人の返事と悠寿郎の説明を求めるような態度に桜は再び目を大きくさせる。
「声が聞こえているのかしら…。ユキ、ちょっと何か喋ってみて。」
ユ『何かと言われても…。』
咄嗟の事に弱いユキは困った様に耳を伏せると 慶寿郎の周りをくるくると回ってから耳元で名を呼んでみた。
すると近くに寄られたことには反応しなかった慶寿郎はパッと耳に手を遣る。
慶「ははうえ!!こえがします!!!」
「わあ…。悠寿郎も聞こえるの…?」
悠寿郎はこくりと頷き、慶寿郎は物怖じせずに声がした方へ手を伸ばしてユキに触れた。
触れるとまでは思っていなかったユキと桜はまた目を丸くさせる。
「杏寿郎さん、彩火は恐らく私と同じです。慶寿郎と悠寿郎は姿は見えないものの声が聞こえ、触ることが出来るようです。」
杏「よもや。触れもするのか。それは羨ましいな。慶寿郎、悠寿郎、ユキはふさふさだろう。」
そう言うと慶寿郎と兄の隣に寄った悠寿郎は勢い良く頷きながら優しく丁寧な手付きでユキを撫でた。