第95章 続々と
杏「君も彩火を見習うと良い。見たか。手を叩き落としたぞ。」
「う。」
杏寿郎と桜が見つめる先で慶寿郎と悠寿郎は父親に似て諦めが悪いのか何度も彩火に手を伸ばしている。
彩火はそのうち嫌になり桜の後ろまで早歩きで逃げてきた。
「慶寿郎。悠寿郎。嫌がる女の子に何度も同じ事をしちゃだめですよ。」
そう言うと桜は先程言われた事に対する仕返しの様に杏寿郎を軽く睨む。
すると杏寿郎はきょとんとした。
杏「俺はその様な事はしていないぞ。」
確信犯であり 尚且つそれを隠している杏寿郎は演技を止めない。
すると1人で意識していたのだと勘違いした桜は頬を染めて悔しそうに顔を背けた。
杏(ああ、4人の子の母になっても尚愛らしいな。操り易く、すぐ赤くなる。)
杏寿郎は子供達に真似されないよう声は出さずにそう思い、そして片手で顔を覆い隠しながら目を細めて黒い微笑みを浮かべたのであった。