第95章 続々と
杏「やはり厚寿郎は体が大きいな。体が大きければそれだけリーチも長くなる。強くなるだろう。」
既に慶寿郎と悠寿郎に玩具の柔らかい剣を持たせて剣道の道に進ませようとしていた杏寿郎はそう嬉しそうに言う。
「手が大きければピアノを弾くにも有利ですよ。私は苦労したので羨ましいです。」
杏「厚寿郎は男だぞ。」
「男の子でもピアノくらい弾きますよ。」
杏「むぅ。」
まだ0歳児の厚寿郎を目の前に両親は眉を寄せ合う。
すると慶寿郎と悠寿郎が揃って剣を持ちながら杏寿郎に駆け寄ってきた。
慶「ちちうえ!」
悠「けんどー!」
杏「うむ!いいぞ!!」
杏寿郎は顔をパッと輝かせると厚寿郎を桜に任せて2人と遊び始める。
そして今度はそれを見つめる桜の元に彩火が寄ってきて桜の服を掴み、勇之が買ったピアノを指差した。
「あ…、ごめんね、彩火。彩火の弟が今、」
瑠「桜さん、厚寿郎は私が見ているので彩火と遊んであげて下さい。」
「お義母さま!ありがとうございます。」
桜もパッと明るい笑みを見せると厚寿郎を瑠火に任せ、彩火の手を取ってピアノに向かう。
「今日は曲にチャレンジしてみようかなあ。彩火はセンスが良いから弾けちゃうかもねえ。」
そう言うと彩火はふわりと微笑み、足台を使いながら座らせてもらうと指1本ででたらめな音を鳴らした。