第95章 続々と
杏「…本当に俺に似ているな。目を合わせているとまるで昔の自分に戻って鏡を見つめているような奇妙な感覚に陥る。」
それを聞いた桜が笑い声を漏らしていると慶寿郎が『ぱぱ。』と言って杏寿郎に抱っこを求めるように手を伸ばす。
杏「うむ!任せろ!!」
眩い笑顔で杏寿郎が抱き上げると慶寿郎は次に杏寿郎の胸板に手を伸ばした。
杏寿郎は首を傾げながら抱き直して自身の胸に慶寿郎を抱き寄せる。
すると―――、
慶「あむっ」
杏「…………………………。」
声が聞こえなくなった事を不審に思った桜が服を直しながら振り返ると 杏寿郎は左胸を慶寿郎に噛み付かれていた。
「……杏寿郎さんも出るのですか?」
杏「残念だが体の構造上出してあげる事が出来ない。本当に食べる事が好きなのだな。」
それを聞いた桜がくすくすと笑いながら悠寿郎を席に戻して慶寿郎を杏寿郎から引き剥がす。
「慶寿郎、待たせてごめんね。杏寿郎さん、彩火が意識を飛ばしちゃいそうなので気を付けて見ていてあげて下さい。」
杏「うむ!!」
桜が再び体を隠すと杏寿郎は彩火と向き合い、幸せそうな顔を見つめた後 頬を優しくふにふにと突付いた。