第95章 続々と
杏寿郎が『父上だぞ。』から『パパだぞ。』に変えると慶寿郎も悠寿郎も彩火も杏寿郎をすぐに "パパ" として認識するようになった。
するとより一層可愛く感じられたのか天元への絡みはもっと酷くなったのだった。
杏寿郎の呼び方に関しては時間が掛かったが、3人とも随分と多くの言葉を覚え 更にその場その場できちんと使い分けられるようになった。
食事の前になるときちんと手を合わせ、慶寿郎と悠寿郎は『いたーきま!!』と言い、彩火は『いたーきまう。』と言う。
杏「愛らしいなあ。1人で食べられて偉いなあ。」
杏寿郎の見ている前で 3人は桜の補助の元、手掴みで離乳食を食べている。
夕食は瑠火が気を利かせて5人にしてくれる事が増え、この日もそうだった。
「手掴みから始めて自分で食べる楽しみを覚えさせるらしいです。3人共もうとっくに覚えているようですが…。」
杏「確かにそうだな!!」
杏寿郎が笑う前で慶寿郎と悠寿郎は既にぺろりと食べ終わって おかわりを望むように桜を見つめ、彩火は幸せそうにぽーっとした顔をしている。
桜は食べ終わった2人の手を綺麗に拭うと発育の良い悠寿郎を抱き上げ、座ったまま杏寿郎に見えないようにしつつ授乳を始めた。
慶「むーー。」
「お兄ちゃん、今日は悠寿郎が先の日ですよ。譲ってあげて下さいね。」
そう言うと理解したかの様に慶寿郎は凛々しい顔をしたまま黙る。
杏「賢いな。良い子だ。慶寿郎は良い兄になるぞ。」
杏寿郎がそう言って慶寿郎の頭を撫でると慶寿郎は杏寿郎を真っ直ぐ見上げた。