第95章 続々と
誕生日会の1ヶ月後、月経が止まった桜は杏寿郎と共に再びクリニックに訪れていた。
先「おめでとうございます。ご懐妊ですよ。」
それを聞くと杏寿郎は腹に気を付けながらもすぐさま桜を抱き締める。
杏「君は凄いな!!」
「ふふ、ほんとう嬉しいです…。でもすごいのは杏寿郎さんな気がします。」
桜がそう返事をするとどういう事だか分からなかった先生は微笑みながらも首を傾げた。
――――――
4人目の新しい煉獄家の子供は男の子だった。
そして桜が身篭った頃、結局じゃんけんという単純な勝負で天元の妻の座を勝ち取った "まきを" もまた子を腹に宿していた。
杏「君の子供と俺の子供は俺達のような関係になるのだろうか。」
天「どうかねぇ。」
子供が同い年になるという事から杏寿郎は職員室で天元相手に にこにことしながら子供の話をする事が前よりも更に増えた。
実「おい。くっちゃべってねぇで仕事しろォ。」
杏「もう終わっている!!」
実「宇髄の方だ。」
天「え…俺絡まれてただけなんだけど。」
そんな風に毎日天元を巻き込みながらも杏寿郎は幸せそうな表情を隠さない。
しかし大正時代に生涯独りでいた杏寿郎を見ていただけに誰も苦言を言う事が出来なかった。
天(だからって何で俺だけが注意されんだよ…。)
そうして職員達が杏寿郎を黙って見守る中、天元だけがいつもいつも額に青筋を浮かべていたのだった。