第94章 成長
瑠「杏寿郎、その調子では慶寿郎も悠寿郎も桜さんの味方について家での居場所を失いますよ。」
杏「……それは困ります。桜、すまなかった。君にああいった事は言わないように……努力する。」
「私に対してはもう諦めているので構わないんです。ですが彩火にはあまり言わないでやって下さい。」
杏「分かった!!」
杏寿郎は漸く彼らしい元気な返事をした。
それを聞いて桜への態度だけは変える気が無いのだと分かり、両親は溜息をつく。
そんな2人の前で彩火がまた転びそうになり、側に付いていた杏寿郎が支えた。
―――
杏「そろそろ良いだろう。あの子達ももうそろそろ1歳になる。」
「………………はい。」
12月の頭、3人の誕生日目前に杏寿郎が『次の子を作ろう』と提案すると桜は素直に頷いた。
それを見ると杏寿郎は嬉しそうに笑顔を作って桜を抱き締める。
桜はその時ふと杏寿郎の肩口から布団の脇を見ていつもならそこに置いてある避妊具が無い事を確認し、杏寿郎が何がなんでも自身を今夜中に説得するつもりであったのだと悟り小さく微笑んだ。
―――
3人の誕生日会は煉獄家で開かれる事となった。
慶寿郎と悠寿郎は本当に杏寿郎に似ており、口はへの字になっているもののキリッとした眉に大きな目、柔らかい癖っ毛の男の子となった。
対して彩火は桜に似ており、桜を少しだけキリッとさせた顔立ちに癖のない柔らかな髪の毛の女の子だ。