第94章 成長
「あ、彩火がお腹空いたみたいなので…、」
杏「皆静かに寝ているぞ。」
杏寿郎はそう言うと桜を布団へ運び、母乳で育てているにも関わらず早くも回復し排卵を始めた優秀な桜の体を求めた。
「は、早すぎます。せめて外に出さなきゃ、」
杏「仕事を辞めればずっとこちらに努めてもらうと言った筈だ。」
「そんな…。3人産んだんですから3年待ってくれても…、」
杏「正直に言おう。俺がしたい。すまないが応えてくれ。」
そう眉尻を下げてねだられれば母性本能の強い桜は放っておけず、結局体を許してしまったのだった。
杏「……っ!!」
「え……えっ!?杏寿郎さん外に出すって…、」
杏「言っていないぞ!!」
妊娠しにくい日ではあったが杏寿郎の特別濃い物を注がれ、桜はたらりと冷や汗を流す。
「……前回、すぐ授かりましたよね。お腹大きいまま3人も0歳児を育てるなんてとても難しいですよ。」
杏「すまなかったと思っている。最近2人きりの時間が無くなってしまったので少し……我慢ならなかった。」
「もう……。」
桜は呆れた様に笑いながらも杏寿郎の胸に額を当てて甘えるようにくっついた。
すると杏寿郎はとびきり嬉しそうに微笑む。
杏「6年、2人きりの結婚生活を送れば幾分か耐えられると思ったのだが やはり君を独占出来ないのは辛いな。」
「避妊しないとまた独占から遠のきますよ。」
杏「尤もだ。ゴムを用意しておかなければならないな。」
桜はそれを聞くと慢性的な寝不足にも関わらず夜が楽しみになってしまい、杏寿郎に嬉しさを伝えるように抱きついた。
それを杏寿郎は久しぶりに父親らしからぬ笑顔で目を細めたのだった。